自宅やレンタルオフイスでの申請

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 自宅やレンタルオフィスでのお酒の販売
 
 最近は、会社にお勤めでサイドビジネスとしてお酒の販売をしたいとお考えの方が多いです。そのような場合は、ご自宅でお酒の免許を申請することになるケースがほとんどです。また、開業当初はレンタルオフィスで営業を開始なさる方もいます。理由は、事務所を構えると家賃の負担がかさむためです。
 
お酒の免許を申請するためにクリアーしなければならない要件の1つとして、場所的要件があります。場所的要件は、次のように定められています。
 
酒税法10条9号関係の要件(場所的要件)
正当な理由がないのに取締り上不適当と認められる場所に販売場を設けようとしていないこと
 
 国税庁の例示として、お酒の免許を申請する場所が、他の営業主体と明確に区分されていることをあげています。ご自宅やレンタルオフィスは、他の営業主体と明確に区分されていないようなケースがあります。具体的には、ご自宅は生活とお酒の販売場が明確に区分されていない、レンタルオフィスは、他業者とスペースが明確に区分ができていない等です。それでは、ご自宅やレンタルオフィスでお酒の免許の交付を受けることは不可能なのでしょうか。
 
 ご自宅でお酒の免許を申請する場合
 
次のことに注意する必要があります。
 
a)建物の所有者から、お酒の販売に対する同意をとる
 
b)居宅・事業用の場所を明確に区分する
 
 a)については、自己所有の場合は問題がありません。ただ、例えばご夫婦で共有名義になっている場合は、たとえ夫婦であっても、免許を申請しない配偶者からの同意書が必要です。
 
 また、賃貸の場合は、居住用の賃貸借契約書を締結していることがほとんどです。そのため、建物の所有者から、お酒の販売を行ってよい旨の承諾書又は覚書の交付を受ける必要があります。なお、承諾書や覚書があれば、住居用の賃貸借契約書を事業用のものに変更する必要はありません。
 
 気をつけなければならないのは、大型マンションで免許を申請する場合です。そのような場合は、マンションの管理組合規約があり、商業使用が認められていない場合があります。その場合は、管理組合から別途の許可が必要です。
 
b)については、生活の拠点となるリビングで免許を申請することはできません。例えば、使っていない子供部屋等、独立した部屋を事業用として準備する必要性があります。また、原則として、お酒の受注行為(電話を受ける、パソコンでメールを受ける)は、独立した部屋の中で完結しなければなりません。
 
 ご自宅でお酒の免許を申請する場合、お酒の置き場所にも注意する必要があります。というのは、お酒の置き場所は、原則として、お酒の免許場所に限定されています。そのため、仕入先と交渉をし、在庫を持たずにお客様から発注がある毎に仕入先からお客様へ直送する形をとることも検討する必要があります。また、在庫をかかえざるをえない場合は、外部の倉庫への委託を検討します。このような場合は、免許取得後に、蔵置場の設置報告書が必要ですので、注意が必要です。
 
 
 レンタルオフィスでお酒の免許を申請する場合
 
レンタルオフィスとバーチャルオフィスで対応が異なります。
 
a)レンタルオフィス
 
 レンタルオフィスは、会社の定位置が決まっていないフリーアドレス制のものでは、お酒の免許を取得することができません。理由は、お酒の免許は場所を特定して付与するためです。レンタルオフィスであっても、壁等で他社と明確に分離され、特定の場所を使うようになっている場合は、お酒の免許を取得できる可能性があります。
 
b)バーチャルオフィス
 
 法人の登記のみができ、実際の使用ができないバーチャルオフィスを利用して、お酒の免許を申請することはできません。理由は、お酒の販売行為は免許場所でのみ行うことができるため、実際に事務所を使用できない場所は免許場所として相応しくないためです。