月別アーカイブ: 2015年8月

中国へのお酒の輸出

Pocket

 中国へ日本酒や焼酎等を輸出する場合には、国税局が発行する、証明書を提出する必要があります。これは、福島の原発事故の影響に対する懸念が原因です。なお、中国へお酒と一緒に日本産の食品(おつまみ等)を販売する場合も、同様です。
 中国へ輸出できるお酒は、産地が限定されています。具体的には、宮城、福島、茨木、栃木、群馬、埼玉、新潟、長野、千葉、東京で製造されたお酒は、輸出することができません。そのため、輸出しようとするお酒が、左記以外の産地である旨を、国税局に証明してもらう必要があります。
 証明書の発行は、お酒の醸造場所を管轄する酒類指導官設置署を通して、国税局の酒税課へ申請します。申請書のほか、お酒を製造した場所を特定できる書類等が必要です。また、製造地だけでなく、主要な原材料の産地をも明らかにする必要があります。主要な原材料の産地が上記に該当すれば、証明書の発行を受けることができません。さらに、輸出する際に、証明書の発行を受けたお酒と同一なものを輸出することが明らかになる書類も必要です。これは、Aというお酒で証明書を取得し、Bを輸出することを防止するためです。
 証明書の発行合計数は約2万件ですが、そのうち約9千件が対中国であり、中国への日本で製造されたお酒の浸透を垣間見ることができます。

日本酒の輸出(香港)

Pocket

 日本が輸出する食品等につき、最も多い相手先は香港です。2位はアメリカですが、金額ベースでは1.5倍と、遥かに大きな市場です。輸出対象となる商品のうち、お酒は7位と上位につけています。香港は様々な国から清酒(日本酒)から輸入していますが、日本が最大の輸出国です。香港に輸出される日本酒のうち、約65パーセントが日本産です。
 上記のとおり、日本は香港に多量の日本酒を輸出していますが、その原因の一つとして、30度以下のお酒には、税金(物品税)が課されないためです。酒税法では、日本酒のアルコール度数は22度未満と定められています。そのため、日本国内で日本酒と定義されるお酒には香港で物品税を課されず、大きなメリットです。
 香港に日本酒を輸出する際、現地で大きな働きをするのが、輸入業者です。一般的には、お酒の物販会社が日本から自社輸入をするケースはほぼなく、輸入業者を通して輸入します。

 どのようなお酒が輸出されるかというと、日本の大手メーカーのものが多いです。これらは、大手スーパーで販売されたり、日本食レストランで提供されています。ただ、最近では、地酒等を専門で取り扱う小売店が増加しており、これらの中には、日本酒メーカーと直接契約をしています。お酒を海外に輸出する際、メーカーと販売先の間に1社のみしか存在しない場合は、酒税の免税を受けることができます。そのため、地酒メーカーとタッグを組み、希少性のある日本酒を輸出するスキームが多くなることでしょう。

 香港に日本酒を輸出するには、輸出酒類卸売業免許一般酒類小売業免許が必要です。輸出酒類卸売業免許を申請する際には、日本国内の仕入先と香港の販売先から、確かに取引をできる旨の承諾書を入手する必要があります。ちなみに、日本酒は、香港側での輸入許可は不要です。