月別アーカイブ: 2015年5月

お酒のオークション販売

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 オークション会場でお酒を販売する場合、どのような免許手続きが必要でしょうか。

①他社開催のオークションに出店

「誰が」お酒を販売するかにより、次の3つの方法が考えられます。

i)自社→お客様 

期限付酒類小売業免許

他社開催のオークションに出店するが、販売行為を自社で行う場合です。
お酒を自社で販売しますので、お酒の売上は自社で経常します。オークション会社には、出店料を支払うことになります。

ii)自社→オークション会社→お客様

自社:卸売業免許
オークション会社:販売業免許

お酒をオークション会社が買い取り、オークション会社が販売行為を行う場合です。
オークション会社にお酒を販売するためには、卸売業免許が必要です。
オークション会社は、自社で仕入したお酒を販売することになります。

iii)自社→オークション会社→お客様

自社:販売業免許
オークション会社:酒類販売媒介業免許 

自社が販売し、オークション会社が自社と購入者の仲立ちをする方法です。
自社がお酒を販売するので、売上は自社で経常します。オークション会社には、売上に応じて、仲介手数料を支払うことになります。

②自社でオークションを開催する

i)固定的な店舗

 固定店舗でお酒のオークションを開催する場合、その場所で、一般酒類小売業免許の取得が必要です。オークションはお酒の販売方法が「せり売り」なだけで、お酒を販売するという行為は、通常の店頭販売と変わらないためです。

ii)臨時的な場所での販売

 ホテルの一角やオークション会場等、臨時の場所でお酒を販売する場合は、期限付酒類小売業免許の取得が必要です。

お中元・お歳暮 の販売に必要なお酒の免許

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 お中元の季節ですね。お中元を贈る時期は暑いですから、ビールを販売する絶好の機会です。さて、既にお酒を販売しているお店でお中元等、贈答用のお酒を販売するためには、特別な手続きは必要がありません。一般酒類小売業免許を取得していれば足ります。

 ただ、デパートや展示場等に出店する場合は、既に一般酒類小売業免許を持っていたとしても、別のお手続きが必要です。具体的には、期限付酒類小売業免許を取得する必要があります。期限付酒類小売業免許は、申請する必要があるものと、届出のみで完了するものがあります。どちらの手続きであるかを簡単に判別するには、開催期間を確認するのがよいです。開催期間が7日以内であれば届出で足りますが、超える場合は、申請が必要です。

 なお、期限付酒類小売業免許を取得した場所で、お酒の特売や在庫処分のための販売をすることはできません。これは、お酒の不当廉売を避けるためです。国税庁のお酒の販売価格についての見解として、お酒に関する業者が安定かつ健全な経営を継続することができるかを常に検討すべきだとします。

 上記はお酒の製造・販売会社は当然に検討する要素です。国税庁の趣旨は、酒税の確実な確保と国民生活におけるお酒の消費の重要性を鑑みるものです。

 また、出店が終わったら、税務署に酒類の販売数量報告を提出する必要があります。これも、上述のとおり、酒税の確保を担保するためです。通常の店舗販売とは別の管理が必要ですので、日々の販売数量を正確に把握する必要があります。

 

お酒の輸出

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 日本で製造されたお酒を海外に輸出するには、海外での日本酒に対する需要を予め検討する必要があります。お酒の輸出金額の推移ですが、2009年は15,000百万円、2014年は30,000百万円と、約2倍の伸びです。同様に、数量ベースでも、2009年は40,000KL、2014年は80,000KLと約2倍の伸びです。取り扱いが多いのは、清酒、ビール、ウイスキー、リキュール、焼酎です。

 日本のお酒を海外に輸出する場合、多いのは清酒と焼酎ではないでしょうか。清酒の輸出金額の上位3カ国は、アメリカ、香港、韓国です。焼酎は中国、アメリカ、香港です。両方とも、アメリカと香港への輸出額が高いです。

  輸出先のシェアが高いアメリカのお酒の販売制度を検討してみましょう。アメリカも、日本と同様に免許制度をとっています。海外へお酒を輸出する場合、飲食店に直販することは少なく、多くは相手先の商社に販売することになるでしょう。そのため、アメリカの酒類販売会社にお酒を輸出する場合は、輸出酒類卸売業免許が必要です。ただ、アメリカの飲食店営業車に直接輸出する場合は、一般酒類小売業免許の取得で足ります。
 
 次に、香港のお酒の販売制度を検討してみましょう。香港へお酒を輸出する場合、輸出先の会社が輸入ライセンスを取得している必要があります。なお、香港ではお酒を販売するのに規制はありません。免許が必要なケースは、お酒を飲み物として提供するレストラン等です。日本ではお酒を販売するのに免許が必要で、レストランでお酒を提供するのみでは免許が不要です。つまり、日本と香港ではお酒についての国の規制が逆です。

ホテルでのお酒販売

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 ホテルは、様々なケースで、お酒を取り扱うことがあります。具体的には、レストランやバー等でお客様にお酒を提供すること及び物販することです。前者は、お客様がその場で消費するお酒を提供しているのみなので、飲食店営業の範疇です。そのため、お酒の免許を取得する必要がありません。後者はお酒を物として販売しているので、お酒の免許申請が必要です。

 ホテルでお酒の免許を取得する際、最も注意しなければならないことは、仕入先と在庫保管場所を、お酒の使用目的によって区分けすることです。

 仕入先については、飲食、物販部門で分ける必要があります。飲食用のお酒は一般酒類小売業免許を保有している仕入先、物販用のお酒は、卸免許を保有している仕入先である必要があります。

 それでは、小売免許と卸免許の双方を保有している仕入先の場合は、どのようにすべきでしょうか。飲食用のお酒、物販用のお酒、それぞれを別の発注とする必要があります。そのため、飲食用のお酒は小売価格で、物販用のお酒は卸価格で仕入することになります。

 お酒の在庫保管場所については、飲食用・物販用は完全に別の場所に保管する必要があります。同一の場所でテープ等を張って区分するだけでは、十分ではありません。保管場所を区分しなければならない理由は、たとえ同じお酒でも、用途によって仕入値が異なるため、個別の管理が必要なためです。